この記事の結論
- Arduinoは、決まった処理を繰り返し実行する「マイコンボード」で、LED点灯やセンサー計測など特定の作業に向いた小さなコンピューター
- Raspberry PiはOSが動く小型パソコンで扱える幅は広いが、最初の一歩でつまずきやすいため、初心者はまずArduinoから始めるのが定番
- 現在はUno R3(従来モデル)とUno R4(現行モデル、Minima/WiFiの2種)の2系統があり、どちらを選ぶかはキット選びの記事で詳しく整理している
- 揃えるものはArduino本体・USBケーブル・Arduino IDE(無料ソフト)の3つで、これだけあれば最初のLチカまで進められる
「Arduino(アルドゥイーノ)って名前は聞いたことがあるけど、実際に何なのかよくわからない」。
電子工作に興味を持ち始めた人が、最初につまずくのがここです。
家電量販店の工作コーナーやネット通販で見かけても、パソコンやスマホのように直感的に使い方がわかる製品ではありません。
この記事では、Arduinoがどんなものなのか、何ができるのか、そして電子工作の入門でよく名前が挙がる「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」とはどう違うのかを、初めての人向けに整理します。
専門的な回路理論やプログラミングの深い知識は前提にしていません。
まずは全体像をつかむことを目標にしましょう。
Arduinoとは何か、仕組みをざっくり理解する
「マイコンボード」ってどういうもの?
Arduinoは、正式には「マイコンボード」と呼ばれる小さな基板の一種です。
マイコンとは「マイクロコントローラ」の略で、あらかじめ書き込んだ指示どおりに、決まった処理を繰り返し実行する小さなコンピューターのことです。
パソコンやスマートフォンのように、動画を見たりWebサイトを閲覧したりする汎用的な機械ではなく、「LEDを光らせる」「センサーの値を読み取る」といった特定の作業に特化しているのが特徴です。

「スケッチ」と呼ばれるプログラムで動く
Arduinoを動かすには、「こういう順番でこう動いてほしい」という指示を、あらかじめパソコンで書いて基板に送り込む必要があります。
この指示書のことをArduinoの世界では「スケッチ」と呼びます。
スケッチを書くための専用ソフトが「Arduino IDE」で、基板への書き込み(アップロード)もこのソフト上から行います。
Arduino IDEのインストール方法や実際の書き込み手順は、別の記事で詳しく解説しています。
Arduinoで実際に何ができるのか
LED点灯・モーター制御などの基本工作
もっとも定番なのが、LEDを一定間隔で点滅させる「Lチカ(LEDチカチカの略)」と呼ばれる工作です。
電子工作の世界で「プログラミングのHello World」に近い位置づけとされていて、Arduinoを初めて動かす人の最初の目標になっています。
そこから発展させると、モーターを回してミニカーを動かしたり、サーボモーターで小さなロボットの腕を動かしたりする工作にもつなげられます。
車輪で走るロボットの具体的な作り方は、Arduinoで作る簡単な車輪ロボット入門の記事で紹介しています。

センサーと組み合わせた計測・簡単なIoT的な使い方
Arduinoは各種センサーと組み合わせることで、「測る」「感知する」工作にも使えます。
温湿度センサーで部屋の温度を記録したり、人感センサーで人の動きを検知してブザーを鳴らしたり、超音波距離センサーで物体までの距離を測ったりといった使い方が代表的です。
Wi-Fi対応のボードや外付けモジュールを使えば、測定した値をスマートフォンに通知するような簡単なIoT(モノのインターネット)工作にも挑戦できます。
Wi-Fi対応モデルを使ったIoT工作の始め方は、Arduino Uno R4 WiFiで始めるIoT入門の記事で詳しく解説しています。
Arduinoは、いきなり複雑な製品を作るための道具ではありません。
「日常のちょっとした自動化・見える化」を、自分の手で体験できる入口だと考えると、取り組むハードルがぐっと下がります。
電子工作全体の中でのArduinoの位置づけ
はんだ付け・ブレッドボードとの関係
電子工作というと「はんだごてで部品を基板に固定する」イメージを持つ人も多いはずです。
ただ、Arduinoの入門段階では、はんだ付けは必須ではありません。
「ブレッドボード」と呼ばれる、穴に部品の足を差し込むだけで回路を組める板を使えば、はんだごてなしでLEDやセンサーを接続できます。

ブレッドボードの使い方はこちらの記事で、基本工具の揃え方はこちらの早見表で詳しく取り上げています。
「まずはArduinoから」が定番とされる理由
電子工作・マイコンボードの入門情報を調べると、「最初はArduino、慣れてきたらRaspberry Pi」という順序で紹介されている記事が数多く見つかります。
理由は単純で、Arduinoには電源を入れてから動くまでの手順が少なく、扱う概念もLEDの点灯やセンサー値の読み取りといった具体的なものに絞られているからです。
一方のRaspberry Piは、Linuxという本格的なOS(パソコンの基本ソフト)が動く小型パソコンで、扱える幅は広い反面、OSの操作自体に慣れていないと最初の一歩でつまずきやすい面があります。
「いきなりRaspberry Piから始めてはいけない」という決まりがあるわけではありません。
ただ、初めて電子工作に触れる場合は、扱う概念が少なく失敗の原因を切り分けやすいArduinoから始めるほうが、挫折しにくいという意味で定番になっています。
Arduino と Raspberry Pi の違いを比較する
ここまでの内容を、表で整理しておきましょう。
| 項目 | Arduino | Raspberry Pi |
|---|---|---|
| 正体 | マイコンボード(OSなし) | 小型パソコン(Linux OSが動く) |
| 得意なこと | 決まった処理をシンプルに繰り返す制御 | 複数の処理を並行して行う複雑な制御 |
| 使う言語 | C/C++をベースにした言語(スケッチ) | Python・C・Javaなど複数の言語 |
| 起動の速さ | 電源投入後ほぼ即座に動作 | OSの起動を待つ必要がある |
| 本体の価格帯目安(2026年時点) | 互換ボードで1,500円台〜3,000円台、純正はUno R4 Minimaの3,000円台からUno R4 WiFiの7,000円台程度 | 現行のPi 5(4GB)で1万3,000円前後〜(メモリ価格高騰の影響で変動しやすい) |
| 向いている用途 | Lチカ、センサー計測、簡単なロボット制御 | カメラ映像処理、サーバー的な用途、複雑なIoT |
もっとも大きな違いは「OS(基本ソフト)が入っているかどうか」です。
ArduinoはOSを持たないぶん、電源を入れてからLEDが点くまでの反応が速く、動作も安定しています。
逆にRaspberry PiはOSがある分、カメラ映像を処理したり、複数のプログラムを同時に動かしたりといった、より複雑な処理に向いています。
Raspberry Piについてさらに詳しく知りたい場合は、Arduinoの次に挑戦したいRaspberry Pi入門の記事で、違いと始め方をあらためて整理しています。
Q. 電子工作を始めるのに、Arduinoは絶対に必要ですか?
A. 必須ではありませんが、安価で情報量も多く、失敗しても原因を切り分けやすいという理由から、多くの入門記事・入門書で最初の1台として選ばれています。
初心者がまず揃えるべきものと次のステップ
ここまでの内容を踏まえると、初めての1台としてArduinoを選ぶ場合に必要なものは、大きく分けて3つです。

- Arduino本体(単体でもよいが、初めてならLED・抵抗器などが同梱されたスターターキットのほうが迷いにくい)
- USBケーブル(パソコンとArduinoをつなぐためのもの、キットに付属していないこともある)
- Arduino IDE(無料でパソコンにインストールする、スケッチを書いて書き込むためのソフト)
この3つが揃えば、最短でLEDを点滅させる「Lチカ」まで進めます。
また、Arduino本体には従来モデルの「Uno R3」と、2023年発売の現行モデル「Uno R4(Minima/WiFiの2種)」があります。
どちらを選べばよいかは、次のキット選びの記事で詳しく比較しています。
次に迷うのは「具体的にどのキットを買えばいいのか」という点だと思います。
スターターキットの選び方については、グレード別の違いを整理した記事で詳しく解説しています。


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