この記事の結論
- Raspberry PiはLinuxが動く「小型パソコン」で、OSを持たない「マイコンボード」のArduinoとは根本的に別物
- 現行の主力モデルはRaspberry Pi 5、価格はメモリ価格の変動を受けやすいため購入直前に必ず公式サイトで確認する
- 「カメラ映像を処理したい」「複数の処理を同時に動かしたい」と感じたタイミングが、Arduinoからの移行の目安
- 揃えるものは本体・電源・microSDカード(またはSSD)・ケースの4点が基本
Arduinoでの工作に慣れてくると、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」という名前を目にする機会が増えてきます。
名前は似た文脈で語られることが多いものの、ArduinoとRaspberry Piは仕組みも得意分野もかなり違います。
この記事では、Raspberry Piがどういうものなのか、Arduinoとどう違うのか、そしてどのタイミングで挑戦するとよいのかを整理します。
Raspberry Piとは何か
Linuxが動く小型パソコン
Raspberry Piは、イギリスの財団が教育目的で開発した、名刺サイズほどの基板に収まった「小型パソコン」です。
基板単体にはディスプレイやキーボードは付属していませんが、モニター・キーボード・マウスをつなげば、普通のパソコンと同じように操作できます。
もっとも大きな特徴は、「Raspberry Pi OS」というLinuxベースのOS(基本ソフト)が動く点です。
OSが動くということは、Webブラウザでネットを見たり、ファイルを保存したり、複数のアプリを同時に動かしたりといった、パソコンらしい使い方ができるということです。

Arduinoとの根本的な違い
Arduinoとは何かの記事でも触れたとおり、ArduinoはOSを持たない「マイコンボード」です。
電源を入れると、あらかじめ書き込んだ1つのプログラム(スケッチ)だけを、ひたすら繰り返し実行します。
Raspberry Piでできること
カメラ・画像処理
Raspberry Pi専用のカメラモジュールを取り付けると、映像の撮影・録画に加えて、簡易的な画像認識にも挑戦できます。
「人が映ったら通知する」「特定の色を検知する」といった処理は、Pythonという言語で比較的手軽に書けます。
Arduinoでも工夫すれば近い工作はできますが、映像データのような重い処理を扱うのはRaspberry Piの得意分野です。

紹介した商品:Raspberry Pi用カメラモジュール
RasTech for Raspberry Piカメラモジュール 500万画素
Pi 5/4B/3B+など主要モデルに対応、本文で紹介した画像処理・カメラ活用の入り口として使えるモジュールです。
Amazon ¥1,680
※価格は記事執筆時点のものです。購入前に最新価格をご確認ください。
サーバー・ネットワーク用途
OSが動くという特徴を活かして、自宅内の簡易サーバーとして使う人も多くいます。
ファイル置き場(NAS)、広告ブロック用のネットワーク機器、自宅の温度・電力データをまとめて記録するサーバーなど、常時電源を入れっぱなしにする用途と相性がよい機器です。
ロボットの頭脳としての活用
Arduinoで作った車輪ロボットに、カメラでの障害物認識や音声操作といった複雑な判断を追加したい場合、Raspberry Piを「頭脳」として組み合わせる構成もよく使われます。
Raspberry Piが状況を判断し、実際のモーター制御はArduinoに任せる、という役割分担です。
リアルタイム性が求められるサーボモーターやセンサーの細かな制御は、サーボモーターの使い方の記事で紹介しているとおり、もともとArduinoが得意とする領域です。
車輪ロボットの基本的な作り方は、Arduinoで作る簡単な車輪ロボット入門の記事で紹介しています。
Arduinoとの比較表、どちらを選ぶべきか

ここまでの内容を、表で整理しておきましょう。
| 項目 | Arduino | Raspberry Pi |
|---|---|---|
| 正体 | マイコンボード(OSなし) | 小型パソコン(Linux OSが動く) |
| 得意なこと | 決まった処理をシンプルに繰り返す制御 | 複数の処理を並行して行う複雑な制御 |
| 反応の速さ | 電源投入後ほぼ即座に動作 | OSの起動を待つ必要がある |
| 主に使う言語 | C/C++をベースにした言語(スケッチ) | Python・C・Javaなど複数の言語 |
| 本体の価格帯目安(2026年9月の記事作成時点、最新は販売店で確認) | 互換ボードで1,500円台〜、純正でも3,000円台〜7,000円台程度 | 現行のPi 5(4GB)で2万円台前半(スイッチサイエンス22,990円など、メモリ価格高騰の影響で変動しやすい) |
迷ったときの目安として、「LEDを光らせる」「センサーの値を読む」「モーターを動かす」といったシンプルな制御が中心ならArduino、「カメラ映像を扱いたい」「複数の処理を同時に動かしたい」ならRaspberry Pi、と考えると選びやすくなります。
現行モデルの選び方
Raspberry Piには、用途に応じていくつかのシリーズがあります。
| シリーズ | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| Raspberry Pi 5 | 現行の主力モデル、処理性能が高い | カメラ処理・サーバー用途・パソコン代わり |
| Raspberry Pi Zero系 | 手のひらサイズの小型・省電力モデル | 常時稼働させたい小規模な工作 |
| Raspberry Pi Pico系 | OSを持たないマイコンボード、実はArduinoに近い立ち位置 | シンプルな制御(名前は似ているが別カテゴリの製品) |
「Raspberry Pi Pico」は名前にRaspberry Piと付いていますが、OSを持たないマイコンボードで、性質としてはRaspberry PiよりArduinoに近い製品です。
この記事で扱っている「小型パソコンとしてのRaspberry Pi」を探している場合は、Pi 5やPi Zero系のシリーズを選んでください。
Raspberry Pi 5は、Broadcom製の「BCM2712」というチップを採用し、Arm Cortex-A76を4コア搭載しています。
メモリ(RAM)は1GB・2GB・4GB・8GB・16GBの5構成から選べます。
以前は「初めての1台なら4GBか8GBで十分」というのが定番の目安でしたが、メモリ価格の高騰で上位モデルの価格が上がっている現在は、動画・画像処理を本格的に行わないのであれば、2GBや4GBモデルを選んで予算を抑えるという判断も現実的な選択肢です。
価格については、世界的な半導体メモリの価格変動の影響を受けやすく、時期によって上下することが確認されています。
購入を検討するタイミングで、必ず公式ストアや取扱店の最新価格を確認するようにしてください。
挑戦する際に揃えたいもの
Raspberry Piを初めて使う場合、本体以外にも用意しておきたいものがあります。
- Raspberry Pi本体(初めてなら公式のスターターキット・セット品が電源やケース込みで迷いにくい)
- 専用の電源アダプター(モデルごとに必要な電力が異なるため、対応品を選ぶ)
- microSDカード(OSやデータの保存先、32GB以上を推奨されることが多い)
- ケース(基板がむき出しのままだと静電気や接触によるショートのリスクがある)

紹介した商品:Raspberry Pi 5 スターターキット(2GB)
iRasptek Starter Kit For Raspberry Pi 5(RAM 2GB・64GB microSD付属)
本体・電源・ケース・microSDがまとまった、動画・画像処理を本格的に行わないなら十分な2GBモデルの構成です。
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※価格は記事執筆時点のものです。購入前に最新価格をご確認ください。
Arduinoの基本工具として紹介している電子工作に必要な道具リストと予算別の早見表の記事と合わせて確認すると、初期費用の全体像がつかみやすくなります。
まとめ:Arduinoから移行するタイミングの目安チェックリスト
Raspberry Piへの挑戦を検討する際は、以下の点がなんとなくつかめているか確認してみてください。
- ArduinoとRaspberry Piの違いが「OSの有無」であることが、なんとなく理解できている
- 「カメラ映像を扱いたい」「複数処理を同時に動かしたい」など、今のArduinoでは実現しづらいやりたいことが具体的にある
- 本体・電源・microSDカード・ケースの4点セットで揃える必要があることが頭に入っている
- 「Raspberry Pi Pico」と「Raspberry Pi(Pi 5など)」が別カテゴリの製品であることが、だいたい区別できている


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