この記事の結論
- リレーは、Arduinoの小さな電気信号で、電流・電圧の大きな機器をオン/オフする「電気式スイッチ」
- リレーモジュールの基板にはトランジスタが載っているため、Arduinoのデジタル出力ピンだけで直接駆動できる(フォトカプラは搭載品と非搭載品があり、搭載品でもジャンパーを外し外部電源を使わないと絶縁効果は限定的)
- 制御信号がHIGHで動くアクティブHIGH、LOWで動くアクティブLOWの2方式があり、モジュールによって異なるため配線前に必ず仕様を確認する
- 機械式リレーは物理的な接点がカチッと動く方式、ソリッドステートリレー(SSR)は半導体で無接点・無音・高速だが発熱対策が必要
ArduinoでLEDやセンサーの工作に慣れてくると、次に触ってみたくなるのが「家庭にあるコンセント機器をオン/オフする」という工作です。
Arduino Uno R4 WiFiを使ったIoT入門の記事でも、KY-019というリレーモジュールに軽く触れましたが、実際に部品を選ぶ段階になると「トリガー電圧」「アクティブHIGH/LOW」「接点定格」など、聞き慣れない言葉が並んで戸惑う人が多いのが実情です。
この記事では、リレーモジュールを選ぶときに確認すべきポイントを、Arduinoから直接駆動できる仕組みも含めて整理します。
リレーとは何か、Arduinoから直接駆動できる理由
リレーとは、電磁石の力を使って物理的なスイッチを動かす部品で、小さな電気信号を使って別の大きな電流・電圧の回路をオン/オフできます。
リレー内部のコイルを動作させるには、一般的な5Vリレー(SRD-05VDC系)で約70〜80mA程度の電流が必要ですが、Arduino Unoのデジタル出力ピンは推奨電流20mA・絶対最大でも40mA程度が上限のため、ピン1本だけで直接駆動するのは電流不足になります。

モジュール基板のトランジスタとフォトカプラの役割
市販の「リレーモジュール」は、リレー本体だけでなく、小さな基板にトランジスタが一緒に載っています。
Arduinoからの信号は、まずこのトランジスタを軽く動かすためだけに使われ、実際にリレーのコイルを動かす電流は基板上の電源(多くはVCCピンからの5V)から供給される仕組みになっています。
製品によっては、このトランジスタにあわせてフォトカプラが搭載されているものと、搭載されていないものがあります。安価な汎用モジュールでは、フォトカプラを省いてトランジスタとフライバックダイオードだけで構成されている製品も多く流通しています。
フォトカプラは、光を介して信号だけを伝えることで、Arduino側の回路とリレーのコイル側の回路を電気的に切り離す(絶縁する)ための部品です。
VCC/JD-VCCピンとジャンパー、本当に絶縁したいときの注意
フォトカプラ搭載品の多くは、基板上に「VCC」と「JD-VCC」という2つの電源ピンがあり、出荷時はこの2つがジャンパーピンで接続された状態になっています。
ジャンパーを装着したままだと、Arduinoの5V電源がVCCとJD-VCCの両方に流れ込み、制御側とコイル側で電源・GNDを共有してしまうため、フォトカプラを搭載していても実質的な絶縁効果はほとんど得られません。
本当にArduino側とリレーのコイル側を電気的に切り離したい場合は、このジャンパーピンを外し、JD-VCCに別電源(外部の5V電源)を接続する必要があります。
ジャンパーを外したままVCCだけをArduinoの5Vにつないでも、JD-VCC側に電源が来ずリレーが動作しないため注意してください。
ノイズの多い機器やモーターなどの誘導性負荷を扱う場合は、この外部電源によるフォトカプラ絶縁が特に有効です。
ジャンパーピンの有無やVCC/JD-VCCの2系統電源に対応しているかどうかは、購入前に商品説明で確認しておきたい選定ポイントのひとつです。

初心者はモジュールタイプを選ぶのが基本
電子部品店やAmazon・楽天で「Arduino リレー」と検索すると、青や緑の小さな基板にリレー本体と数個の電子部品が載った製品が数多く見つかります。
これらはすべて上記のような保護回路込みの「リレーモジュール」であり、電子工作を始めたばかりの段階では、まずこのモジュールタイプを選んでおけば間違いありません。
トリガー電圧とアクティブHIGH/LOWの違い
リレーモジュールを選ぶときに、まず確認しておきたいのが「トリガー電圧」と「アクティブHIGH/LOW」という2つの仕様です。
トリガー電圧とは何か
トリガー電圧とは、制御ピン(IN)にどれくらいの電圧をかければリレーが反応するか、という目安の値です。
多くのリレーモジュールは3V以上の信号があればトリガーできるように作られており、5V系のArduino Unoはもちろん、3.3V系のボードでも動作する製品が多く流通しています。
ここで言う「3V以上」とは、ONにするために制御ピンとGND間に必要な電位差の目安であって、実際にHIGHでONになるかLOWでONになるかは、次に説明するアクティブHIGH/LOWの方式によって変わります。
ただし製品によって対応電圧の幅は異なるため、3.3V系のボード(一部のESP32系マイコンなど)で使う場合は、商品説明で対応電圧を必ず確認してください。
アクティブHIGHとアクティブLOWの違い
アクティブHIGHのモジュールは、制御ピンにHIGH(5V)を送るとリレーがONになり、LOW(0V)にするとOFFになります。
一方、市販のリレーモジュールに多いアクティブLOWのタイプは、これとは逆に、制御ピンをLOWにするとONになり、HIGHにするとOFFになる仕組みです。
これはモジュール内部のトランジスタの向き(フォトカプラのLEDに電流を流す向き)によって決まるもので、安価な汎用モジュールではアクティブLOWの製品が多く出回っています。
アクティブLOWのモジュールを「HIGHを送ればONになるはず」と思い込んでコードを書いてしまうと、意図と実際の動作が真逆になります。
さらに厄介なのは、pinMode()でOUTPUTに設定した直後のピンの初期状態がLOWになりやすいことで、アクティブLOWのモジュールでは電源投入直後に一瞬リレーがONになってしまうことがあります。
接続する機器によっては予期しない動作につながるため、動作確認は必ず何もつながっていない状態、または安全な負荷で行ってください。
ジャンパーで切り替えられるタイプもある
一部のリレーモジュールには、基板上のジャンパーピンでアクティブHIGH/LOWを切り替えられる製品もあります。
自分が購入したモジュールがどちらの方式か分からない場合は、商品説明やデータシートを確認するか、シリアルモニタを使いながら実際にHIGH/LOWを送って動作を確かめてみるのが確実です。
接点定格(電流・電圧)の見方
リレーを選ぶうえで、トリガー電圧と並んで重要なのが「接点定格」です。
接点定格とは何か
接点定格とは、リレーがオン/オフを切り替える側の回路(負荷側)で、安全に流せる電流・電圧の上限を表す値です。
リレー本体には「10A 250VAC」「10A 30VDC」のように、交流(AC)と直流(DC)それぞれの上限が印字されていることが一般的です。
接続したい機器の消費電流が、この定格を超えないことを必ず確認してから使ってください。
COM・NO・NCという3つのネジ端子の意味
リレーモジュールの負荷側(接続したい機器側)には、多くの場合「COM」「NO」「NC」と書かれた3つのネジ端子が並んでいます。
COM(コモン)は共通端子で、負荷側の電源または機器からの配線を必ずここに接続します。
NO(ノーマルオープン、通常開)は、リレーがOFFの状態では回路が開いていてつながっておらず、ONになったときにCOMと導通する端子です。
NC(ノーマルクローズ、通常閉)は逆に、リレーがOFFの状態でCOMと導通しており、ONになると回路が切れる端子です。

AC100V(家庭のコンセント)を扱う場合の注意
AC100V(家庭のコンセントの電源)を扱う工作は、感電や火災の危険があるため、電子工作に慣れないうちは避けるのが無難です。
配線ミスや接点定格を超えた使用は、発熱や発火につながるおそれがあります。
AC100Vを扱う工作に挑戦する場合は、電気工事に関する知識がある人に相談するか、専門の解説書で手順を確認したうえで、定格に十分な余裕を持たせて進めてください。
電子工作に慣れないうちは、まずはUSB機器や電池駆動の機器などAC100Vを使わないものでリレーの動作を試してみることをおすすめします。
チャンネル数とコイル駆動電圧の選び方
ここまでの仕様に加えて、実際に購入する段階で最初に決めることになるのが「チャンネル数」と「コイルの駆動電圧」です。
チャンネル数、1ch/2ch/4ch/8chの選び方
リレーモジュールは1枚の基板に1つのリレーだけを載せた1chタイプのほか、2ch・4ch・8chのように複数のリレーをまとめて載せたタイプも販売されています。
オン/オフしたい機器の数だけチャンネル数を選べばよいのですが、チャンネル数が増えるほど、同時にすべてのコイルが動作したときの消費電流も増える点に注意が必要です。
1chあたり約70〜80mAのコイル電流がかかるとすると、4chが同時にONになれば280〜320mA程度、8chなら560〜640mA程度になり、Arduino UnoのUSB経由の5V電源(供給できる電流は数百mA程度が目安)だけではまかないきれなくなる場合があります。
4ch・8chなど多チャンネルのモジュールを複数同時にONにする使い方をする場合は、モジュールのVCCピン(先述のJD-VCCも含む)に外部の5V電源を接続することを前提に計画してください。
Arduino本体の5Vピンからまとめて電源を取ろうとすると、Arduino自体が不安定になったりリセットがかかったりするおそれがあります。
紹介した商品:2チャンネルのリレーモジュール
オーディオファン リレーモジュール 2チャンネル DC 5V フォトカプラ付き(2個セット)
機器を2つオン/オフしたいときの2チャンネルタイプ。フォトカプラ付きです。
Amazon ¥899(2個セット)
※価格は記事執筆時点のものです。購入前に最新価格をご確認ください。
紹介した商品:4チャンネルのリレーモジュール
オーディオファン リレーモジュール 4チャンネル DC 5V フォトカプラ付き(2個セット)
4台まで切り替えられる4チャンネルタイプ。同時にすべてONにすると消費電流が増える点に注意します。
Amazon ¥899(2個セット)
※価格は記事執筆時点のものです。購入前に最新価格をご確認ください。
紹介した商品:8チャンネルのリレーモジュール
サインスマート(SainSmart) 8チャンネル 5V リレーモジュール for Arduino
8チャンネルまとめたタイプ。多chは外部電源での運用を前提に選びます。
Amazon ¥1,104 / 楽天市場 ¥1,983
※価格は記事執筆時点のものです。購入前に最新価格をご確認ください。
コイル駆動電圧、5V品と12V品の違い
リレーモジュールには、コイルを動かすための駆動電圧が5V用の製品と12V用の製品があります。
Arduino Unoと組み合わせる場合、Arduino自体が5V(または3.3V)で動作するため、基本的にはコイル駆動電圧が5Vのモジュールを選んでおくのが無難です。
12V品は、車載機器(12Vバッテリー)や産業用の設備など、もともと12V電源が用意されている環境向けの製品で、Arduinoとの組み合わせでは別途12V電源の用意が必要になるため、購入前に商品説明の「DC5V」「DC12V」といった表記を必ず確認してください。
機械式リレーとソリッドステートリレー(SSR)の違い
リレーには大きく分けて「機械式(電磁式)」と「ソリッドステートリレー(SSR)」の2種類があります。
機械式リレー、カチッと動く可動接点タイプ
機械式リレーは、電磁石で物理的な金属の接点を動かしてオン/オフを切り替える方式で、動作するたびに「カチッ」という小さな音がします。
Arduino入門向けのモジュールとして広く流通しているのは、このタイプです。
可動部品(接点)があるため、開閉できる回数には寿命があり、頻繁に高速でオン/オフをくり返すような使い方には向きません。
ソリッドステートリレー(SSR)、無接点・無音・高速
SSRは、可動する接点を持たず、半導体(トライアックやMOSFETなど)を使ってオン/オフを切り替える方式です。
物理的に動く部品がないため無音で、機械式に比べて非常に高速にオン/オフを切り替えられ、開閉回数による寿命の心配も基本的にありません。
一方で、動作中に半導体自体が発熱するため、扱う電流が大きい場合はヒートシンク(放熱板)が必要になることがあり、機械式に比べて価格も高めです。
紹介した商品:ソリッドステートリレー(SSR)モジュール
ソリッドステートリレーモジュール 5V DC用 G3MB-202P型(DC-AC・240V AC 2A・6個セット)
無接点・無音で切り替えられるSSRモジュールの一例。扱う電流が大きい場合は放熱が必要になることがあります。
Amazon ¥999(6個セット)
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初心者はどちらを選べばいいか
最初の1台としては、価格が手頃で情報も豊富な機械式のリレーモジュールから始めるのがおすすめです。
動作音が気になる用途や、短い間隔でのオン/オフをくり返す工作をしたくなった段階で、SSRへのステップアップを検討するとよいでしょう。
選び方の早見表
最後に、機械式リレーモジュールとSSRの違いを表にまとめます。
| 項目 | 機械式リレーモジュール | ソリッドステートリレー(SSR) |
|---|---|---|
| 動作方式 | 電磁石で物理接点を動かす | 半導体で無接点 |
| 動作音 | カチッという音がする | 無音 |
| 切り替え速度 | 比較的遅い | 高速 |
| 寿命 | 開閉回数に上限がある | 接点摩耗の心配が少ない |
| 発熱・放熱対策 | 基本的に不要 | 電流が大きいとヒートシンクが必要な場合がある |
| 価格帯の目安 | 数百円程度から | 機械式より高め |
| 初心者へのおすすめ度 | まず試すならこちら | 用途が明確になってから検討 |
購入前チェックリスト
ここまで説明してきた選定ポイントを、購入前に確認するチェックリストとして表にまとめます。
| 確認項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| チャンネル数 | オン/オフしたい機器の数に合わせて1ch/2ch/4ch/8chを選ぶ、多chは外部電源前提 |
| トリガー電圧 | 制御ピンをONにするために必要な電位差の目安(多くは3V以上)、使用ボードのロジック電圧と適合するか |
| アクティブHIGH/LOW | HIGHでONかLOWでONか、市販品はLOWが多い、ジャンパー切替式もある |
| コイル駆動電圧 | 5V品か12V品か、Arduinoと組む場合は基本5V品 |
| フォトカプラ・ジャンパー | 搭載の有無、絶縁したい場合はジャンパーを外し外部電源(JD-VCC)を用意 |
| 接点定格 | 接続したい機器の消費電流・電圧が定格(例:10A 250VAC)を超えないか |
| COM/NO/NC | Arduino停止時に機器を切りたいか(NO)つなげたいか(NC) |
| 方式(機械式/SSR) | まずは機械式から、高速・無音が必要ならSSRを検討 |
実際にリレーモジュールを使ってスマホからコンセント機器をオン/オフする工作例は、Arduino Uno R4 WiFiでのIoT入門記事で紹介しています。
IoT入門記事のコード例では、LEDを接続していた出力ピンにリレーモジュールの制御信号(IN)をつなぎ替える方法を紹介していますが、アクティブLOW品を使う場合はHIGH/LOWの記述を入れ替える必要があるので注意してください。
まとめ:仕様確認をしてから配線すれば怖くない部品
リレーモジュールは、仕組みだけ見ると難しそうに感じますが、モジュール基板が保護回路を肩代わりしてくれているおかげで、配線自体はシンプルです。
トリガー電圧・アクティブHIGH/LOW・接点定格という3つの仕様さえ購入前に確認しておけば、初心者でも安全に扱える部品です。
取り組む前に、以下の点がなんとなくつかめているか確認してみてください。
- リレーモジュールがArduinoから直接駆動できる理由(トランジスタ・フォトカプラ)の見当がついている
- アクティブHIGHとアクティブLOWで動作が真逆になるという違いがだいたいわかっている
- 接点定格を超える機器はつながない、AC100Vは慣れないうちは避けるという意識ができている
部品選びの次は、実際の配線や工具についても合わせて確認しておくと、工作全体がスムーズに進みます。
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